予定外ばかりの高山旅|朝市のぶどう君と特急ひだの連結【第3話】

高山陣屋前朝市のぶどうと特急ひだの連結を楽しむ夫婦 旅

高山駅から歩いて、ようやくたどり着いた高山陣屋。

▶【第2話】高山駅から高山陣屋へ

小さな「真向きうさぎ」を探したり、外国人観光客に交じって英語の説明を聞いたり、御白洲について勘違いしていたことに気づいたり。

来る前に調べていたことと、実際に自分の目で見て初めて分かったこと。

その両方をたっぷり抱えて、高山陣屋を後にしました。

このあとは、タクシーで高山グリーンホテルへ向かい、予約してあるランチをいただく予定です。

ここまでは、ほぼ計画どおり。

でも旅は、予定どおりに進むことだけが正解ではありません。

高山陣屋を出たところから、しおりには書かれていなかった出来事が次々と始まりました。

※この記事は、高山・下呂1泊2日旅行記・全6話の第3話です。

陣屋前朝市で出会った「ぶどう君」

高山陣屋の門を出ると、大通りの脇に「陣屋前朝市」がまだ残っていました。

せっかく朝市に来たのだから、何か買いたくなります。

最初に目に入ったのは、1個100円のりんご。

「ホテルで食べる?」

旦那と話したものの、りんごを食べるにはナイフが必要です。

残念ながら、旅行鞄の中にナイフはありません。

そこで、りんごの隣にあったものへ目が移りました。

ぶどう4房、600円。

種はあるけれど、糖度は15度と書いてあります。

「ぶどうなら、そのまま食べられるよね」

完全に予定外でしたが、買ってしまいました。

こうして私たちの旅に、「ぶどう君」が加わります。

さっそく一粒、味見してみました。

「あま~い!」

とても甘くて、おいしいぶどうです。

でも、もう一つ思ったことがありました。

「冷えていた方が、もっとおいしいな……」

そして、口の中で見つけたもの。

「……種、ある」

そこで思い出したのが、以前の「探偵のあ」の事件でした。

探偵のあ 事件File1「詐欺師を暴け!」|種なしぶどうはどうやって作る?

あの時は、種なしぶどうがどのように作られているのか、のあと一緒に調べました。

そして今、高山の朝市で私が選んだのは、正真正銘の「種ありぶどう君」。

まさか旅先で一粒食べたぶどうから、過去の事件ファイルを思い出すとは思いませんでした。

温かくなったぶどうより、冷えたぶどうの方がおいしいはず。

ぶどう君には、ホテルの冷蔵庫で冷えてもらうことにします。

今夜、二人で食べよう。

この時の私たちは、まだ知りませんでした。

このあと食べるものが多すぎて、夜にはぶどう君が入る余地など、どこにも残っていないことを……。

タクシーは、どこで拾えばいい?

高山陣屋から高山グリーンホテルまでは、タクシーで移動する予定でした。

門のところにいた警備員さんに、旦那が「タクシーに乗りたいのですが、どこで拾えますか?」

と尋ねてくれました。

すると、通りの向かい側にあるタクシー乗り場を教えてくれました。

そこで1台呼んでもらうと、タクシーはすぐに来てくれました。

高山グリーンホテルまでは、それほど遠くありません。

「近くて申し訳ないです」

そんなことを言いながら、二人で乗り込みました。

私はタクシーに乗ると、なぜか運転手さんと何か話さなければいけないような気持ちになります。

そこで、高山陣屋で感じたことを尋ねてみました。

「外国人観光客、多いですねぇ」

すると運転手さんから、即座に返ってきた答えがこちら。

「高山は、パスポートのいらない外国ですからwww」

あまりにも迷いのない返事。

きっと何度も同じことを聞かれているのでしょう。

運転手さんお決まりの答えなのかもしれませんが、妙に納得してしまいました。

確かに高山陣屋では、周りから聞こえてくる言葉のほとんどが英語。

そこだけ切り取れば、本当に外国へ来たような光景でした。

タクシー料金は850円。

短い移動でしたが、運転手さんのひと言まで含めて、しっかり旅の思い出になりました。

予定より30分早く、高山グリーンホテルへ

高山グリーンホテルの「緑亭」で、月替り御膳を予約していたのは12時30分。

ところがホテルへ到着したのは、まだ12時頃でした。

30分も早く着いてしまいました。

そこで旦那がフロントで尋ねてくれました。

「緑亭でランチだけ予約しているんですが、早く着いたので、それまでラウンジで休ませてもらえますか?」

するとスタッフの方が電話で確認を取り、お店の前まで案内してくれました。

緑亭では、すでに私たちの席が用意されていました。

そして、予約時間を待たずに、そのまま食事を始められることになったのです。

予定より早く着いたから、待たなければいけない。

私たちはそう思っていました。

けれど、スタッフの方の機転と親切のおかげで、疲れた体をすぐに席で休めることができました。

旅先では、こうした何気ない心遣いがとてもありがたく感じます。

月替り御膳は、写真に入りきらないほど

高山グリーンホテル緑亭の月替り御膳
高山グリーンホテル「緑亭」の月替り御膳。写真のほかに、天ぷら、フルーツ、おしるこまで付きました。

席に運ばれてきた月替り御膳は、たくさんの料理が少しずつ並んだ、見た目にも楽しい御膳でした。

けれど、写真に写っているものだけがすべてではありません。

このあと、天ぷら、フルーツ、おしるこまで付いてきます。

残念ながら、途中から食べることに夢中になり、追加のお料理は撮り忘れてしまいました。

私が特に気に入ったのは、里芋。

私は里芋が大好きです。

牛肉のうま味がしっかり染み込んでいて、とてもおいしかった。

お刺身は厚みがあり、プリップリ。

海なし県に住む私にとって、おいしいお刺身はそれだけでごちそうです。

中央にあった銀鱈の照り焼きは、身が締まっているのに柔らかい。

少しずつ味わうつもりが、次から次へと箸が進みます。

初めて食べた「ハスイモ」

刺身に添えられた白いハスイモの葉柄
お刺身の中央に添えられていた白いものがハスイモ。切り口はスポンジのようで、サクサクした食感でした。

お刺身のお皿の中央には、見たことのない白いものが飾られていました。

野菜のように見えます。

切り口の表面はスポンジのようで、食べてみると強い味や香りはほとんどありません。

でも、サクサクとした食感がおいしい。

「これ、何だろう?」

気になったので、特徴を手がかりに画像検索してみました。

そこで見つけたのが、「ハスイモ」。

名前に「イモ」と付いていますが、食べるのは芋ではなく、

葉と茎をつなぐ「葉柄」という部分だそうです。

食べている時には名前も分からなかったものが、画像を見比べて「これだ!」と判明する。

旅先で初めての食材に出会い、その正体を自分で調べるところまで含めて、

一つ新しいことを知った気分になりました。

これも、しおりには書かれていなかった出会いです。

旦那が、ほとんど食べた

病気になってから、旦那は以前より小食になっていました。

たくさん並んだ御膳を見て、食べ切れるのかなと少し心配していました。

ところが、その心配をよそに、旦那はほとんどのお料理を食べました。

朝からいつもより足取りも軽く、高山駅から高山陣屋まで歩き切り、ここでは御膳もほぼ完食。

もちろん無理はしてほしくありません。

でも、「食べられる」ということは、見ている私にとってもうれしいことでした。

旅を楽しみにしていた気持ちが、体にも少し力を貸してくれたのかもしれません。

シャトルバスで再び高山駅へ

食事を終えたあとは、高山グリーンホテルのシャトルバスで高山駅へ戻ります。

下呂までのチケットは、高山駅で購入しました。

旦那は、

「自由席でいい」

とのこと。

朝は人生初のグリーン車だったのに、もうすっかり元気ですww

窓口で障害者手帳を見せてチケットを購入すると、駅員さんが親切に教えてくれました。

「自由席は4号車と9号車です。4号車の方が、下呂駅であまり歩かなくて済みますよ」

旦那の足のことを考えて、少しでも移動が短くなる車両を案内してくれたのでしょう。

料金は二人で2,300円。

しおりで調べていた金額とは20円違いましたが、時間も費用もほぼ予定どおりでした。

「4号車は連結します」

教えてもらった4号車の乗車位置で、列車を待っていました。

すると、駅の構内放送が聞こえてきました。

「4号車は連結します――」

最初は写真を撮ろうと思いました。

でも、車両同士がつながるところなら、これは写真ではありません。

「動画でしょ!」

慌ててスマートフォンを動画に切り替えました。

高山駅で偶然見ることができた、特急ひだの連結作業(約40秒・音声なし)

気づけば周りには、カメラを構えた鉄道ファンらしき人たちが集まっています。

残念ながら、車両同士が合体する瞬間を真正面から撮ることはできませんでした。

それでも、特急ひだの連結作業を偶然目の前で見られるなんて、めったにない経験です。

もし駅員さんが4号車を案内してくれなければ。

もし予定どおり、もう少し遅く高山駅へ来ていたら。

この光景を見ることはなかったかもしれません。

予定外だったから、覚えている

朝市で衝動買いした、種ありのぶどう君。

タクシー運転手さんの、

「高山は、パスポートのいらない外国ですから」

という名言。

予定より早く到着した私たちを、すぐに緑亭へ案内してくれたスタッフさん。

初めて食べたハスイモ。

足の負担が少ない車両を教えてくれた駅員さん。

そして、偶然見ることができた特急ひだの連結。

どれも、旅行前に作ったしおりには書かれていませんでした。

もちろん、計画を立てたからこそ安心して動けたことはたくさんあります。

でも、あとから思い出して笑ったり、誰かに話したくなったりするのは、案外こうした予定外の出来事なのかもしれません。

ぶどう君を冷蔵庫で待たせる未来も知らないまま、私たちは特急ひだに乗り込みました。

次に向かうのは、下呂。

ここから先にも、私たちがまだ気づいていない「予定外」が待っていました。

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