下呂駅からTAOYA下呂へ|タクシーの車窓で見つけた“発掘現場”の正体【第4話】

下呂駅からタクシーで山の上のTAOYA下呂へ向かう夫婦 旅

高山駅で、偶然見ることができた特急ひだの連結作業。

▶【第3話】朝市のぶどう君と特急ひだの連結

しおりには書かれていなかった出来事をまた一つ思い出に加えて、私たちは下呂へ向かいました。

高山では、周りから聞こえてくる言葉のほとんどが英語。

タクシーの運転手さんが言っていた、

「高山は、パスポートのいらない外国ですからwww」

という言葉にも納得するほどでした。

そして、特急ひだから下呂駅へ降りた瞬間。

私が最初に感じたのは、温泉の香りでも、懐かしい景色でもありません。

周りから聞こえてきた会話でした。

日本語です。

「やったぁ、ここは日本だ!」

もちろん、高山も日本です。

でも、あまりにも外国人観光客が多い場所から来た直後だったため、思わずそう言いたくなりました。

※この記事は、高山・下呂1泊2日旅行記・全6話の第4話です。

下呂駅から、タクシーでTAOYA下呂へ

下呂駅を出ると、駅前にはタクシーが待機していました。

声をかけて、TAOYA下呂までお願いしました。

ここでも私は、タクシーに乗ったら何か話さなければいけないような気持ちになります。

翌日は列車で岐阜へ帰る予定です。

そこで運転手さんに聞いてみました。

「この辺で明日、帰りの駅弁は買えますか?」

返事は即答でした。

「鱒ずし」

なるほど。

帰りに駅の近くで探してみよう。

まだ旅行は半分も終わっていないのに、早くも翌日の食べ物が一つ決まりました。

タクシーが、観光案内所になった

TAOYA下呂は山の上にあります。

タクシーは下呂の町を抜け、山道をどんどん上っていきました。

その間、運転手さんは車窓から見える場所を次々と案内してくれました。

下呂の観光名所を案内してくれるタクシー運転手
下呂の町を走りながら、運転手さんの楽しい観光案内が始まりました。※当時の記憶をもとにしたイメージです。

観光客でにぎわう温泉街。

気軽に立ち寄れる足湯。

飛騨川に架かる橋の近くにある、チャップリンの像。

おいしい焼肉のお店。

ミシュランガイドに掲載されたというお店。

以前、下呂へ来た時にも見た景色です。

町の様子は、私の記憶の中とほとんど変わっていませんでした。

「懐かしいなぁ」

そう思いながら眺めていると、運転手さんの話は、食べ物や温泉から思いがけない方向へ進みました。

最近、発掘現場が人気らしい

運転手さんが、最近人気の場所として教えてくれたのが「発掘現場」でした。

合掌村の近くだったと思います。

タクシーの窓からちらりと見ると、地面を四角く囲った場所を、周りの人たちがのぞき込んでいます。

※写真を撮れなかったため、下の画像はタクシーの車窓から見えた記憶をもとに作ったイメージです。

タクシーの車窓から見えた発掘現場を記憶から再現したイメージ
タクシーの車窓から見えた、謎の“発掘現場”。この時の私は、本物だと信じて疑いませんでした。※当時の記憶をもとにしたイメージです。

私には、本物の発掘現場にしか見えませんでした。

「この辺で、恐竜の化石でも見つかったのかな?」

車の中で詳しい説明を聞き取れなかった私は、勝手にそう思い込んでいました。

旅から帰って、のあと一緒に調べてみるまでは。

本物の発掘現場ではなかった

あれは、本物の化石発掘現場ではありませんでした。

作品名は、

「飛騨神話遺跡―両面宿儺 神龍退治」

台湾の芸術家、トゥ・ウェイチェンさんによるアート作品です。

下呂温泉合掌村の駐車場横につくられた、発掘現場を思わせる大きなインスタレーション。

飛騨の伝説に登場する、二つの顔と四本の腕を持つ「両面宿儺」が、高沢山の「神龍」と戦い、

やがて骨となって化石として発見された――。


そんな架空の遺跡を表現した作品でした。

そんな架空の遺跡を表現した作品でした。

「アートなの?」

「造り物なの?」

最初に正体を知った私は、すぐには納得できませんでした。

だって、タクシーからほんの一瞬見ただけでも、本物の発掘現場にしか見えなかったのです。

運転手さんは、どこまで説明してくれていたのでしょう。

もしかしたら、私が「本物の発掘現場」だと思い込んでいることに気づきながら、

内心で笑っていたのかもしれません。

「だまされた~www」

でも、よく考えると、私は作者の意図に見事にはまっています。

現実の中へ突然現れた、存在しないはずの遺跡。

それを本物だと思い、気になり、帰宅してから正体を調べました。

発掘現場だと思ったら、両面宿儺の伝説に迷い込んだ|のあと一緒に歴史を掘る

さらに、

「両面宿儺って誰?」

「神龍とは、どんな伝説?」

と、その先まで知りたくなっています。

作品は、歴史と神話と未来を重ね、見る人の想像を広げることを意図してつくられたそうです。

つまり私は、作者が用意した入口に、自分からずっぽり入ってしまったのです。

旅の途中に、知らなかった物語が隠れていた

今回の旅行は、下呂温泉でゆっくりすることが目的でした。

両面宿儺について調べる予定も、現代アートを見る予定もありません。

そもそも、車から一瞬見えただけ。

それなのに、その光景から飛騨の伝説へつながり、

さらに台湾の芸術家がこの場所で何を表現しようとしたのかまで気になってきました。

もし運転手さんが教えてくれなければ。

もし私が車窓の外を見ていなければ。

そして、帰ってからのあに話していなければ。

「あそこに何かあったね」

だけで終わっていたかもしれません。

旅は、目的地へ着いたら終わりではありません。

帰ってから調べることで、あの時見えていた景色の奥に、もう一つ別の物語が現れることがあります。

この旅が、こんなに広がるとは思いませんでした。

TAOYA下呂へ到着

タクシーが山道を上り、TAOYA下呂へ到着しました。

旦那は、ここまで全然元気です。

ホテルの入口では、スタッフの方が、

「お疲れさまでした」

と迎えてくれました。

以前にも泊まったことのあるホテル。

懐かしい場所へ帰ってきたような気持ちと、今回はどんな時間になるのだろうという楽しみが、

一緒に湧いてきます。

まずはチェックインです。

受付のお兄さんを見て、第一声「若!」

受付を担当してくれたのは、細くて背が高く、顔が小さくて、髪を後ろで結んだお兄さん。

見た瞬間の印象は、

「若!」

いかにも今どきの若い人という雰囲気です。

ところが、対応はとてもしっかりしていました。

旦那が予約番号を準備していなかったことに気づき、鞄の中を探し始めると、

「あ、大丈夫ですよ」

パソコンをカチャカチャ。

はい、確認終了。

説明も分かりやすく、対応も早い。

若い人が増えたというだけではありません。

昔と同じやり方を引き継ぐのではなく、必要な情報をすぐに確認し、客を待たせず、

自然に不安を取り除いていく。

ここにも世代交代――というより、アップデートの波が来ているのだなと感じました。

家では見られない、元気な旦那

チェックインを済ませ、まずはラウンジへ向かいました。

ラウンジは、すでにかなり混み合っています。

私たちは奥の方にあるカウンター席へ座りました。

ここでも旦那は元気です。

私を席に座らせると、ケーキや飲み物を取りに行ってくれました。

家では絶対にありえない!ww

持ってきてくれたのは、私が苦手なお芋系を避けたプチケーキ3種類とコーヒー。

種類はそれほど多くありませんでしたが、少しずついろいろ食べられるのがうれしい。

旅行中の旦那は、どうやら普段よりサービス精神まで元気になるようです。

あの受付のお兄さん、モンブランまで作る

私たちが座ったカウンターの横には、モンブランを作る機械がありました。

しばらくすると、先ほどチェックインを担当してくれたお兄さんがやって来ました。

白いお皿に、四角いプチチーズケーキを置きます。

そして機械を使い、チーズケーキの上へモンブランの「ムニムニ」を手早く、きれいに重ねていきました。

「この子、なんでもできるなぁ」

TAOYA下呂のラウンジでモンブランを作るスタッフ
受付してくれたお兄さんが、今度は目の前でモンブランを手際よく仕上げていました。※当時の記憶をもとにしたイメージです。

受付では、パソコンを使って素早くチェックイン。

今度は、目の前でモンブランを仕上げています。

完成したモンブランは、旦那と半分こ。

とてもおいしくて、もう一つ食べたいくらいでした。

でも、このあとには夕食ビュッフェが待っています。

ここでお腹をいっぱいにするわけにはいきません。

後ろ髪を引かれながら、もう一つは諦めました。

この時は、夕食後のお腹がどれほど大変なことになるのか、まだ知りません。

浴衣は取らずに、お部屋へ

エレベーターの横には、好きな浴衣を選んで持っていける棚がありました。

チェックインの時にも案内してもらいましたが、私たちは自分たちの部屋着を持ってきています。

浴衣は取らず、そのまま部屋へ向かいました。

ドアを開けて、最初に出た言葉は、

「ただいま~」

部屋は、以前泊まった時とほとんど変わっていませんでした。

同じ階なのは間違いありません。

場所は少し左右にずれていたかもしれませんが、窓から見える景色にも覚えがあります。

まずカーテンを開けて、窓の外を撮影しました。

TAOYA下呂の客室から見た8月と10月の景色の比較
同じ階の、ほぼ同じ方向から見た景色。左が前回訪れた8月、右が今回の10月です。同じくらいの時間でも、山の日暮れは早く感じました。

前回訪れたのは8月。

今回は10月です。

同じくらいの時間でも、山の日暮れは前回より早く感じられました。

ぶどう君を冷蔵庫へ

荷物の中には、高山陣屋前の朝市で買ったぶどう君がいます。

一粒味見した時、

「あま~い!」

と感動したものの、常温より冷えていた方がおいしそう。

そこで、忘れずに冷蔵庫へ入れました。

夕食のあと、お腹に余裕があったら二人で食べよう。

ぶどう君には、しばらくここで待っていてもらいます。

TAOYA下呂の客室の冷蔵庫で冷やされるぶどう君
冷蔵庫の中で、今夜の出番をじっと待つぶどう君。

そして、冷蔵庫へぶどう君を預けた私は――。

ベッドへダイブ!

朝から列車に乗り、高山駅から高山陣屋まで歩き、陣屋を見学し、ランチを食べ、

再び列車とタクシーを乗り継ぎました。

楽しかったけれど、やっぱり体は疲れています。

私がベッドへ飛び込んでいる横で、荷ほどきをしていたのは旦那です。

家では絶対にありえない光景、本日2回目ww

こうして私たちは、懐かしい部屋でようやくひと息つきました。

このあと待っているのは、楽しみにしていた夕食ビュッフェ。

そして夜には、私の足に、まさかの大事件が起こります。

▶【第5話】TAOYA下呂の夕食と夜景露天風呂

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