10月17日、土曜日。
待ちに待った、一泊二日の下呂旅行へ出発する朝が来た。
実は旅行の少し前、旦那は体調を崩し、一時は歩くことも難しくなっていた。
この旅行、本当に行けるのかな。
楽しみにしていたぶん、不安も大きかった。
列車のチケットをすぐには予約せず、旦那の体調を見ながら購入する時期を決めた。
けれど迎えた当日の朝は、二人とも体調万全。
安心したはずなのに、今度は旅行への緊張と興奮で、私はほとんど眠れなかった。
旦那もいつもより早く目を覚ましていた。
※この記事は、高山・下呂1泊2日旅行記・全6話の第1話です。
息子の運転で岐阜駅へ
朝6時30分ごろ、息子の運転で家を出た。
無事に岐阜駅へ到着し、まずは金色に輝く織田信長像の前で記念撮影。

前回の私は、旅先で写真を撮ってもらうことにも遠慮しがちだった。
でも今回は、できるだけいろいろなことに挑戦して、思い出を残したい。

そんな気持ちで始まった旅行だった。
駅では、ASTY岐阜のドトールへ。
アイスカフェラテを3つと、ミラノサンドを2つテイクアウトした。
カフェラテの一つとミラノサンドの一つは、送ってくれた息子の分。
もう一つのミラノサンドは半分にカットしてもらい、旦那と私で分けることにした。
チケットはすでに購入済み。
7時50分ごろに改札を抜けるまで、息子と三人で談笑しながら過ごした。
いよいよ、ここからは夫婦二人旅である。
人生初の特急ひだグリーン車
ホームへ向かう旦那の足取りは、思っていたよりずっと軽かった。
旅行前には歩くことさえ心配していたのに、この日の姿だけを見れば病人とは思えない。

8時5分発の特急ひだ1号。
そして今回は、人生で初めてのグリーン車である。
席は進行方向右側の5番。
窓が大きく、外の景色がよく見える。
テーブルや足置きも前後の座席の動きに左右されないため、前の人や後ろの人を気にせず使えた。
座ってみると、普通の座席より気持ちにも余裕が生まれる。
「これがグリーン車かぁ」
初めての私は、それだけで少しうれしかった。
列車が動き始めたところで、ドトールのカフェラテと、半分にしてもらったミラノサンドを広げる。

朝の景色を眺めながら食べるだけで、いつものカフェラテとサンドイッチが、少し特別な旅行の朝食になった。
この列車、エンジンとバッテリーで走っているの?
車内で、私が初めて知ったことがある。
旦那によると、飛騨を走る列車は、普段街で見る電車とは少し仕組みが違うらしい。
車内の表示を見ると、エンジンで発電しているときや、バッテリーが走行を支えているときの様子が、画面で分かるようになっていた。

私たちが乗ったHC85系は、エンジンで発電した電力と蓄電池の電力を組み合わせ、モーターを動かして走るハイブリッド車両。
加速時などには蓄電池の電力も使われ、従来の車両より環境性能や快適性が向上しているという。
車のハイブリッドは知っていたけれど、列車にも同じような仕組みがあるとは知らなかった。
写真は少しぼけてしまった。
それでも、エンジンとバッテリーの表示を見ながら、
「今はエンジンかな?」
「バッテリーが手伝ってる」
と考えるのが、妙に楽しかった。
車内放送が教えてくれた景色
絶景ポイントに近づくと、車内放送が流れた。
「右手に見えてまいりますのが――」
その案内に合わせ、窓の外へスマホを向ける。
最初に見えたのは、国宝・犬山城。

少し離れた場所からでも、山の上に立つ姿がはっきりと分かった。
続いて見えたのは、木曽川。

この辺りの木曽川沿いの景観が、ヨーロッパのライン川に似ていることから、「日本ライン」と呼ばれるようになったと車内放送で説明があった。
さらに列車は、飛騨川に沿って山の中へ入っていく。

川と山がきれいに見える場所では、心なしか列車の速度まで少しゆっくりになったように感じた。
目的地へ早く着くことだけが列車の役目ではなく、途中の景色まで旅の一部として楽しませてくれる。
そんな時間だった。
高山駅へ到着

そして列車は、予定どおり高山駅へ到着。
旦那もここまで元気。
旅行へ行けるか心配していた時間が、少し遠いことのように感じられた。
けれど、このあとは高山駅から高山陣屋まで歩く予定である。
普通に歩ける人なら、それほど遠い距離ではない。
でも、今の旦那の足でどこまで歩けるのかは、まだ分からなかった。
迷子にならないようGoogleマップのナビを設定し、私たちは高山の街へ歩き出した。
次回、観光客でにぎわう大通りではなく、なぜか人のいない道へ案内されます。


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