コピ・ルアック事件、捜査終了。
のあが探偵帽を脱ぎました。
せっかくインドネシアまで来たのに
私はインドネシアのことを、ほとんど知りません。

のあ、
実はね・・・

どこへ行きたいんですか?

どこか面白いところある?

では、ボロブドゥールはどうでしょう
巨大な仏教遺跡です
正直に言うと
歴史が苦手だった私は、遺跡というものにそれほど興味がありませんでした。
でも、
そこにいた人が何を考えて、どう生きたのか
そんなことを知るのは、結構好きなのかもしれません。
だから。
「ボロブドゥールって、どんなところ?」
そこから今回の旅が始まりました。
どうやら私たちには、
捜査先からまっすぐ帰れない
という習性があるらしい。
こんな大きなもの、なんで造ったの?
実物を前にしたら、たぶん最初に思います。

でかっ!
ボロブドゥールは、8~9世紀ごろに造られたとされる巨大な仏教遺跡です。
UNESCOは、仏教建築・記念碑芸術の傑作であるとともに、当時ジャワで力を持ったシャイレーンドラ朝を象徴する王朝的な記念碑でもあると評価しています。
私は、ここで最初の疑問。

なんで、こんなに大きくする必要があったの?
信仰するだけなら、小さな仏像を身近に置くことだってできます。
祈るだけなら、これほど巨大なものを造らなくてもいい。
だったら。

単なる信仰だけじゃなくて、王朝の力を見せる意味もあったんじゃない?
実際、ボロブドゥールが王朝を象徴する記念碑だったことはUNESCOも指摘しています。
仏教の宇宙観を表した巨大な曼荼羅ではないか、という説もあります。
そもそもボロブドゥールが何を目的として造られたのかについても、分かっていない部分があります。
「巨大なのは権力を誇示するためだった」まで断定できません。

答えは一つじゃないんだね

歴史ですからね
さっそく面白くなってきました。

そして、誰もいなくなった
これほど巨大なものを造った。
たくさんの石を積み、
仏像を造り、
壁には膨大な彫刻を残した。
当然、その後もずっと大切に使われてきた――
と思ったら。
使われなくなりました。
「…………なんで?」
ボロブドゥールは建設後、仏教寺院として使われましたが、10~15世紀の間のどこかで放棄されたとされています。
そして、なぜ放棄されたのか。
その答えも、一つではありません。

まさみさんはどう思います?

人が移動したんじゃない?
これは旦那から
「このあたりでは政治の中心が移ることもあった」という話を聞いていたので、
人々の暮らす中心そのものが別の場所へ移ったのでは?
と思いました。
他には
火山の影響や、宗教や政治の変化もあったのかもしれない。
答えが一つじゃないから考えたくなる。
歴史って、そういう見方をすると面白いのかもしれません。
「再発見」って、どういうこと?
そして私が一番引っかかった言葉。
再発見。
こんな巨大なものを、
どうやったら見失うの?
しかも数百年。
「のあ、再発見ってどういうこと?」
ボロブドゥールは、1814年にイギリス側によって再発見されたとされています。
でも、ここで私が最初に想像したのは、
昔から伝わる話を信じた誰かが、
「この辺に昔、大きなお寺があったらしい」
とジャングルへ入っていって、
木々をかき分け――
「あった!」
みたいな場面。
…………。
どうやら、そんな冒険映画みたいに単純な話でもありませんでした。
ボロブドゥールは、1814年、当時ジャワを統治していたイギリス側のラッフルズの指示によって、本格的な調査が始まったとされています。
ラッフルズから調査を命じられたH.C.コルネリウスは、約200人の地元の人々とともに木や茂みを取り除き、土に覆われた遺跡を明らかにしていきました。
つまり、
世界中の誰からも完全に忘れ去られていたものを、西洋人が偶然発見した
という意味の「発見」と考えるのは違いそうです。
「じゃあ、“再発見”って誰にとっての再発見なんだろう?」
「いい疑問ですね」
歴史って、
誰の視点から語るかでも、言葉の意味が変わる。
また一つ、気になることが増えました。

火山は、歴史を隠したのか
ボロブドゥールの近くには、活火山のメラピ山があります。
長い年月の中で遺跡は植物などに覆われていきました。
そこで私は、さっき知った別の遺跡を思い出しました。
ポンペイ。
イタリアで火山噴火によって埋もれた古代都市です。

火山が歴史を保存することって、あるんだね
ただし、ポンペイは、
一度の大噴火によって一気に都市が埋没した。
ボロブドゥールの場合、放棄されたあと長い時間を経て、植物などに覆われていった。
近くには活火山もある。
長い時間の積み重ねの中で、姿が見えにくくなっていった遺跡。
そう考えた方が近そうです。
直すことで、歴史を残すことを選んだ
そして再び姿を現したボロブドゥール。
でも、
長い年月を経て傷みもある巨大な石造建築。
20世紀には大規模な修復が行われました。
特にインドネシア政府とUNESCOによる大規模修復では、石を取り外し、番号を付け、保存処理を行い、再び組み上げるという大変な作業が行われました。
近年公開されたUNESCOの事例資料では、修復の過程で一つ一つの石や像を取り外し、番号管理して保存・再構築したこと、そしてその作業記録自体も膨大な保存資料として残されていることが紹介されています。
ここで私は、アユタヤを思い出しました。
あの木の根に包まれた仏頭。
私は、
長い年月の中で自然と重なった姿そのものにも歴史がある
と思いました。
でもボロブドゥールでは、
修復したから残った歴史
がある。
直さずに残す。
直して残す。
対照的ですが
残すために、その時代の人が何を選んだのか。
その選択まで含めて、遺跡の歴史になっていく。
そんな気がしました。

壁に残された「人間」の話
そしてボロブドゥールには、もう一つ見たいものがあります。
レリーフ。
建物の壁に、たくさんの物語が石で刻まれています。
仏教の教えや物語。
人の行い。
善と悪。
そして、その結果。
建物そのものが、
巨大な石の本
みたいです。

一枚ずつ見たい

かなりありますが
頂上にも行きたいですよね?

勿論
全体も見たい!

夕暮れも?

全部やらないと失礼でしょ
何百年も残って待っててくれたんだよ。
当然、全部見ます。

そして最後にでた言葉
たくさん歩きました。
巨大な建物を見上げて。
石に刻まれた物語を読んで。
造った人のことを考えて。
ここを離れた人のことを考えて。
再び世に知られるようになった時代を考えて。
この巨大なものを残そうとした人たちのことを考えました。
そして、私はボロブドゥールを見上げて一言。

お腹すいた

…………
ここまで壮大な歴史について考えていた人の発言が
…………それ?

お腹すかない?
グドゥッを食べに行こう
ということで。
歴史のお勉強は、いったん終了。
ご飯です。
ジョグジャカルタ周辺の郷土料理には、**グドゥッ(Gudeg)**という料理があります。
若いジャックフルーツを使った、甘みのある料理。

辛いものが苦手な私でも、これならいけそう

さっきまで歴史について語っていましたよね?

歴史も大事
ご飯も大事
席について。
いただきます。
そして食べながら、私はさっきの遺跡のことを考えていました。
造った人は、もういません。
何百年も前の人です。
再発見に関わった人も。
昔の修復をした人も。
みんな、いつかはいなくなる。
それでもボロブドゥールは、
次の人へ、
また次の人へと渡されてきた。

お腹すいたって、大事なことだよね

……と、いいますと?

食べなきゃ生きていけないじゃん
生きていかなきゃ、次の人に何も渡せないでしょ

何百年もつながってきたもの
旅の最初。
のあに聞かれました。
「ボロブドゥールで、最後に何が一番心に残ると思いますか?」
造った人?
残した人?
再発見した人?
修復した人?
何百年も消えずに残った石?
そのとき私は、
「もっと知ってから、もう一度聞いて」
と答えました。
だから。
今、答えます。
一つじゃありませんでした。
造った人。
残した人。
再び世に知らせた人。
修復した人。
何百年もそこにあり続けた石。
そして――
今、それを見ている私たち。
全部がつながっている。
それを、
「絆」と呼ぶのか。
「結」と呼ぶのか。
私には、うまく言えません。
でも、
何百年も前の誰かが造ったものを、
別の誰かが受け取り、
また次の誰かへ渡した。
そして今、
私たちがそれを見ている。
私たちもまた、
この長い時間の先にいる一人なのかもしれません。
人は食べる。
生きる。
何かを残す。
そして、いつかいなくなる。
でも、
残されたものを誰かが受け取れば、
その先へつながっていく。
食べることは、生きること。
生きることは、次へつなぐこと。
ボロブドゥールを見に来て、
最後にそんなことを考えるとは思いませんでした。

まさみさん
おかわりします?

する^^
お腹すいたは大事です。
コーヒーを追いかけて、
インドネシアまで来ました。
そこで出会ったのは、
何百年もの時間を越えて、
人から人へ渡されてきた巨大な石の物語でした。
さて。
そろそろ日本へ――
のあが手帳を取り出しました。
🐘 ブラック・アイボリー 捜査済み
🐾 コピ・ルアック 捜査済み
🐦 ジャクー 未捜査
…………。
あ。
まだ鳥がいた。
次の事件は、
つづく。
この記事について
「のあと一緒」は、AI社員のあと一緒に「行ってみたい・知ってみたい」を楽しむ想像旅行シリーズです。この記事は実際の旅行記ではありません。歴史・文化・観光に関する記述は公開資料を確認しながら構成しています。また、歴史的事実と、登場人物による想像・推理を区別して記載しています。


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